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エージェントの概要


エージェント

エージェントは、ネットワーク上のホストに配備され、クラウドベースのSEIコントローラーによって管理される軽量のプロービングソフトウェアです。

エージェントの主な機能は以下の通りです:

  • Synthetic テストトラフィックをターゲットに送信し、その応答を受信することにより、プロービングデータを作成します。
  • ネットワークパフォーマンスに影響があると思われるホスト情報を収集します。
  • プロービングデータとデバイス情報をSEIコントローラにアップロードし、時系列メトリクスデータとして保存します。
  • オンデマンドのトラブルシューティングテストをリアルタイムで実行します。
  • SEIコントローラーからダウンロードしたプロービングおよび管理手順に従います。

エージェント間のプロービングは、スタティックエージェントとクラウドエージェントのオプション設定です。これらを設定すると、「マネージドターゲット」として他のエージェントからのプロービングに応答し、プロービング割り当てに追加できます。

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エージェントの種類

多種多様なネットワーク環境での導入をサポートするために、さまざまなエージェントソフトウェアが提供されています。

スタティックエージェント

専用のネットワークデバイスを利用する方式

プリインストールモデルの SPEKTRA Edge デバイスをお使いになるか、EdgeLQ OS が動作している汎用デバイスを使用します。

スタティックエージェント

ネットワークアプライアンスの上でホストする方式

Docker コンテナアプリケーションをデプロイ可能な Cisco や Juniper のルータ・スイッチにデプロイします。

クラウドエージェント

データセンターまたはクラウド環境を利用する方式

パブリックまたはプライベートクラウド環境上の Docker が動作する VM にデプロイします。

モバイルエージェント

エンドユーザの端末を利用する方式

Wエージェントのネイティブアプリケーションを Windows、macOS または Android にデプロイします。セルフインストーションおよびエンドポイントマネジメントがサポートされています。

Agent Type OS Runtime Host Support Distribution

SPEKTRA Edge 装置

Linux

EdgeLQ OS

ハードウェアアプライアンス

汎用エッジデバイス向けスタティックエージェント

Linux

EdgeLQ OS

Raspberry Pi 4、Dell VEP

イメージファイルはチャネルパートナー契約によって提供されます

Docker向けスタティックエージェント

Linux

Docker

Cisco Catalyst 9K シリーズルータおよびスイッチ

パブリック Dockerリポジトリ

クラウドエージェント

Linux

Dockerランタイムを備えたVM

Azure、AWS、GCP

パブリック Dockerリポジトリ

Windows向けモバイルエージェント

Windows

ネイティブアプリケーション

Windows 10以降

マイクロソフトストア Service Experience Insights

macOS向けモバイルエージェント

macOS

ネイティブアプリケーション

macOS 12 Monterery 以降

.DMGファイルを以下よりダウンロード ntt-dev.io/observability/desktop-agent-download/ja


エージェントがデータを収集する方法

すべてのエージェントは、ネットワーク内の内部ターゲットと、インターネット経由でアクセス可能な外部ターゲットに、Synthetic テストトラフィックを送信します。スタティックエージェントとクラウドエージェントは、他のエージェントによるプロービングに応答する「マネージドターゲット」として設定することもできます。この柔軟な機能により、エージェントをネットワーク全体に幅広く配備し、ネットワーク内外の基幹系サービスに対して、ネットワーク・トラフィックの品質に関する継続的かつオンデマンドな分析が可能になります。

プロービング

  • ユーザーは、ターゲット、プロトコル、間隔を定義したプロービング割り当てにエージェントを追加します。
  • エージェントは、SEIコントローラーからこれらの設定を自動的に受け取り、プロービング割り当てで定義された間隔で、プロービングトラフィックの送信とターゲットからの応答の受信を開始します。
  • エージェントはCPU/メモリ使用量、インターフェースのロス/エラー、WiFi信号強度(接続時)などのデバイスデータを取得します。
  • これらプロービングデータとデバイス情報は、エージェントのローカルメモリに最大1時間保存されます。

SEI コントローラの操作:

  • 60秒ごとに、エージェントは保存したデータをSEIコントローラにアップロードし、プロービングの設定に変更がないか確認します。
  • ローカルに保存されたデータは、SEIコントローラにアップロードされた後に破棄されます。
  • エージェントがコントローラに1時間以上到達できない場合、プロービングは続行され、1時間以上前のバッファデータは、新しく分単位のデータで上書きされます。テストデータの直近1時間分のみがローカルに保存されます。
  • エージェントがSEIコントローラに再接続すると、最後の1時間のテストデータが時系列データベースにアップロードされ、ローカルメモリから消去されます。

**オンデマンドのトラブルシューティング: **

  • エージェントはSEIコントローラに常時接続されているため、トラブルシューティングコマンドとその結果のテストデータは、エージェントとSEIコントローラ間でリアルタイムにストリーミングされます。
**メトリクスデータ: **
  • メトリクスは、エージェントからアップロードされたプロービングデータとデバイス情報です。
  • 60秒間のデータは、各プロービングターゲットとデバイスメトリックの5つのメトリクスに変換されます。
    • 平均値
    • 中央値
    • 最大値
    • 95パーセンタイル
    • 99パーセンタイル
  • メトリクスデータはSEIコントローラーの時系列データベースに保存されます。
**ログ: **
  • エージェントソフトウェアのログは、カスタマーサポートとサービス品質保証で使用するためにコントローラーにアップロードされます。
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エージェント別のメトリクス

すべてのエージェントは、時系列およびオンデマンドのトラブルシューティング・メトリクスを提供します。

以下は、エージェントタイプ別にサポートされているメトリクスです。各メトリクスの詳細については、「メトリクス」 の記事を参照してください。

  • WiFi信号強度:
    • WiFi メトリクスは、WiFi アクセスポイントを介してコントローラに接続されたエージェントで使用できます。
    • クラウドエージェントはスタティックエージェントと同等の機能を提供しますが、クラウド環境は通常WiFiアクセスポイントに接続する方法を提供していません。
  • パケットキャプチャ(PCAP)はモバイルエージェントではサポートされていません。
メトリクスの種類 メトリクス スタティック及びクラウドエージェント モバイルエージェント

プロービング・メトリクス(時系列)

レイテンシー

ジッター

ロス

HTTP可用性

HTTPリクエスト返答時間

パスディスカバリー (ASN、ホップレイテンシー)

スピードテスト

デバイス情報(時系列)

CPUとメモリ使用量

送受信インターフェースロス

送受信インターフェースエラー

WiFi信号強度(接続時)

オンデマンド・トラブルシューティング(ストリーミング)

パケットキャプチャ

Pingテスト

DNSルックアップ

HTTPテスト

パスディスカバリー


パスディスカバリー

エージェントは、パスディスカバリーが有効なプロービング割り当てに追加されると、パスディスカバリーを実行できます。

パスディスカバリーを有効にし、[プロービング割当の追加/編集] モーダルでパスプロービング間隔を設定します。

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パスディスカバリーを有効にすると、パスプロービング間隔とトグルスイッチがプロービング割当ページに表示され、オンとオフの切り替えができます。

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エージェントは、エージェントとターゲット間のホップのパスディスカバリービジュアライゼーションを作成するために、パスプロービング(トレースルートとも呼ばれる)を実行します。パスディスカバリの可視化は、各ホップのIPとレイテンシー、およびその時点で使用されているキャリアASNを表示します。

パスディスカバリーを有効にしたプロービングディストリビューションのエージェントの場合、ターゲットのプロットラインをクリックすると、選択した時間範囲にプローブされたパスを可視化したグラフが開きます。

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パスディスカバリーのメトリクスとパスプロービングの方法については、メトリクス の記事をご参照ください。

パスディスカバリーのトリガー

パスディスカバリーは、以下の4つの方法でトリガーされるパスプロービングにより生成されます:

1. パスプロービングの間隔

  • プロービング割り当てでパスディスカバリーが有効になっている場合、1時間、6時間、12時間、または24時間のパスディスカバリー間隔が設定できます。
  • エージェントは、プロービング割り当てでパスディスカバリーを無効にするか、エージェントがプロービング割り当てから削除するか、またはエージェントがオフラインになるまで、設定の間隔でパスディスカバリーを実行します。

2. レイテンシーの変化

  • パスプロービングは、エージェントとターゲット間のレイテンシーが増加すると自動的にトリガーされます。
  • この機能により、エージェントは定期的なパス・ディスカバリー間隔の間で、意味のあるイベントの間にホップメトリクスをキャプチャすることができます。
  • エージェントがターゲットをプローブするたびに、レイテンシー値が作成されます。新しいレイテンシー値が作成されると、エージェントはそれを過去2分間の一番低いレイテンシー値と比較します。新しいレイテンシー値が下記の偏差しきい値に従って増加すると、パスプロービングがトリガーされます:
直近2分の最小単位のレイテンシー 偏差しきい値

100ミリ秒

+/- 10ミリ秒

35ミリ秒~99.99ミリ秒

+/- 5ミリ秒

< 35 ミリ秒

+/- 3 ミリ秒

次の例では、レイテンシーが増加したときに、比較ウィンドウを使用して、自動的にパスのプロービングをトリガする方法を示しています。

  • この例では、このエージェントとターゲットの組み合わせに関するプロービング割り当てで、30秒の間隔でプロービングを行うように設定されているとします。この場合、1分間に2回のレイテンシーの値を取得します。
  • 開始から3分
    • この最初の新しいレイテンシー値は41ミリ秒でした。
    • 先の2分間の比較ウィンドウの最小レイテンシー値は25ミリ秒でした。
    • エージェントはこれらの値を比較し、比較の最小レイテンシーが35ミリ秒未満であり、新しいレイテンシー値が3ミリ秒以上増加したため、パスプロービングをトリガーします。
    • 30秒後、次の新しいレイテンシー値は42msでした。比較ウィンドウが30秒進みましたが、比較値は25ミリ秒のままなので、パスプロービングが再びトリガーされます。
  • 開始から4分:
    • 新しいレイテンシー値は43ミリ秒でした。比較ウィンドウの最小値は変らないため、パスプロービングは再びトリガーされます。
    • 30秒後、2番目のレイテンシー値は42ミリ秒でした。
    • 2分の比較ウィンドウが進み、レイテンシーの最小値は40ミリ秒となり、パス・プロービングはトリガーされません。
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  • パスプロービングによるパスディスカバリーの生成
    • すべてのSEIメトリクスは、プロービング間隔中に収集されたすべてのプロービングデータから作成されます。
    • パスディスカバリーメトリクスとその結果の可視化グラフも、プロービング間隔中に収集されたパスプロービングデータから生成されます。そのため、パスプロービングは1分間に2回行われることがありますが、作成されるパスディスカバリーのメトリクスは1セットのみです。
  • 比較ウィンドウが2分間とならない場合があります。
    • ほとんどのプロービング割り当ては、1分以下のプロービング間隔を使用しており、その結果1分間に少なくとも1つのレイテンシーの値を取得できます。
    • プロービング間隔が1分を超える場合は、最後の値2つが比較に使用されます。

3. ターゲットIPの変更を検出

  • パスプロービングは、ターゲットのIPに変更が検出された場合にトリガーされます。
  • 例えば、SaaSサービスのような HTTPターゲットは通常、サービスの可用性を最適化するために IP プールを使用します。エージェントはこれらの変更を認識し、各IPに対してパスプロービングを実施します。

4. オンデマンド・パスディスカバリー

  • オンデマンド・パスディスカバリーは、既存のターゲットまたは到達可能なIP/URLへのパスプロービングを実施します。
  • トリガーされると、パスプロービングデータがエージェントからリアルタイムでストリーミングされます。
  • それらの結果は時系列データベースには保存されず、パスディスカバリーの可視化グラフにも表示されません。

パスプロービングプロトコル

パスプロービングに用いるプロトコルは、パスプロービングのトリガー、ターゲットプロトコル、エージェントタイプにより異なります。

ターゲットプロトコル スタティックおよびクラウドエージェント (Linux ベース) macOS向けモバイルエージェント Windows向けモバイルエージェント

パスディスカバリーの間隔

HTTP

TCP

UDP

ICMP

UDP

UDP

UDP

ICMP

ICMP

ICMP

ICMP

ICMP

レイテンシーの変化または
ターゲットIPの変更の検出

HTTP

TCP

UDP

ICMP

UDP

UDP

UDP

ICMP

ICMP

ICMP & UDP

ICMP

ICMP

オンデマンド

任意

ICMP, UDP, TCP

ICMP, UDP, TCP

ICMP

パスプロービングの試行回数

試行回数はパスプロービングのトリガー方法によって異なります。

試行回数

パスディスカバリー間隔

10

レイテンシーの変化または
ターゲットIPの変更の検出

3

オンデマンド

1〜10の間で設定でき、3がデフォルト設定値



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